国立国際美術館 ライアン・ガンダー
既に終わってしまったけど、国立国際美術館でのライアン・ガンダー「―この翼は飛ぶためのものではない」は、とても良い企画展だった。
久々に「国立国際らしい」と感じた。
しかしながら。
いつものことだが「国立国際らしい」展覧会は、人が入らない。
この謎の美術ブームの中、力が入り過ぎて集客出来ない展覧会が存在するということは素晴らしいことであるが、それでも平日日中、外国人観光客のほうが多いことについては問題があると言えるだろう。
ー特に関西ではそういう傾向にあると思うが、学生やデザイン、アートに関わる人たちが展覧会に行かない。
(同時に音大生がコンサートに行かない、という傾向も存在する)
自分がそうであったので理解できるが、人の作品を見聞きする暇があったら練習しろ(仕事しろ)というような傾向は自分たちの首を絞めているだけだと思うのだが。
(そのくせ身内のイベントには集まり絶賛というのも見たことがある)
企画展は撮影自由、SNSにアップしてくださいということだったが、その影響力も殆どなかったように思う。
世の中は「インスタ映え」というキーワードに踊っているが、ただ映してアップするだけで面白さは伝わるのか?
これに関しては美術館側も、興味を惹く撮り方へ誘導する必要があると感じた。
しかもライアン・ガンダーによる所蔵作品展「 ―かつてない素晴らしい物語」の方は受付に戻らないと撮影許可が得られなかった。
個人的には所蔵作品展のほうが面白かったし、むしろインスタ映えすると感じたが、わざわざ受付に戻ってまで許可を取るかといわれると、面倒くさくて諦めてしまった。
暇そうなチケット確認のスタッフがいるのだから、そこに任せることが出来ないのか疑問だ。
所蔵作品展のほうは、類似はあるもののジャンルや時代などが違うため並べて鑑賞されることはなかったものをペアとして並べることで新鮮さを与え、鑑賞者は「何が共通項なのか」を探すという楽しい遊びをしているような気持ちにさせられるものだった。
この哲学的でもあり愛らしい二つの展覧会、実はもっとライトな美術ファンに訴求することは可能だったのではないかと思い、勿体無さが残るものだった。
0コメント