田園交響楽

中学生のときに通っていた塾のバイト先生が辞めるときにくれた一冊。

医学生でいかにもガリ勉タイプで、授業を教えるのも下手で、暗そうでとっても苦手な先生だった。でも、この本を読んでから、その人に対するイメージが変わった。こんな本を読んでいるなんて、悪い大人ではないかもしれない。今となってはいい人か悪い人かなんてわからないけど、相当のロマンチストであったことは間違いないと思う。



ストーリーは割りと単純。盲目の少女を牧師一家が引き取り、教育を施すうちに少女は美しく知的に成長していく。少女への思いが抑えきれない牧師と、少女に恋心を抱くその息子、そして夫と息子の気持ちを知る牧師の妻。手術で目が見えるようになったとき、少女が見た世界とは・・・

田園交響楽とは勿論、ベートーヴェンの第6番の交響楽のこと。ジッドよりちょっと上の世代の芸術家には、ベートーヴェンに影響された者は多い。耳が聞こえなかったにもかかわらず、あれだけの作品を残したというカリスマ的な魅力もあったのではないかと思われる。(最近、ベートーヴェンの耳は聞こえていたという大胆な仮説も出ているようですが、本当のところはよく知りません、私も)

盲の少女が聾の作曲家の残した作品を聞き世界を知っていくという美しくもはかないストーリーは、ありきたりな空気こそ漂いはするものの、牧師の罪の意識とエロティシズムがストーリーを引き立てる。(ダダイストには批判されたらしいが、そこは仕方あるまい。というか、そりゃそうだろー)





ヤフーで検索していたら、映画もあるということ。

見てみたいけど、こんなのなかなかレンタルで置いていないんだろうなー。

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