Leonard Bernstein :Songs



レナード・バーンスタインと言えば、カラヤンと並ぶ20世紀の名指揮者。

彼とカラヤンの大きな違いは演奏スタイルにもあるのだけど、バーンスタインは作曲をしている。19世紀の名指揮者の中には作曲家として偉大だった人物も多いわけで、特に珍しいことではないのだが、指揮者だけで・もしくは作曲家だけで十分お金になった20世紀という時代を考えると少し不思議な気もする。

彼の代表作は当然「ウエストサイドストーリー」。あとはオペラの「キャンディード」。「ウエストサイドストーリー」を聞かずに死ぬのは非常に愚かなことだと思うけど、正直、「キャンディード」のためにあなたの人生の3時間を費やすほどでもない気がする。

と、バーンスタインの作品については、その程度にしか思っていなかったのだが、意外や意外、歌曲が面白い。



「I HATE MUSIC!:A cycle of five kid songs for soprano(音楽なんて大嫌い!~ソプラノのための五つの子どもの歌~)」は、プーランクの歌曲集「くじびき」に全体の雰囲気が似てるように思う。タイトルと歌詞のの秀逸さから(なんせ、`I HATE MUSIC!'という恨みのこもった叫びから始まる)、‘I HATE MUSIC!’とタイトルされた第三曲が有名なのだが、曲集全体を聞くとわかる面白さもある。また、「La Bonne Cuisine(美味しいお料理)」は、フランス語のテキストによる作品だが、微妙にメシアンの匂いも感じる。「Peter Pan(ピーター・パン)」などは、そのままディズニー映画に乗っけても違和感が無いポピュラーなメロディーと伴奏。

全ての曲にバーンスタインらしいクラシック以外の要素を含み、ウィットに富んだ愛らしさに溢れている。



結構、この手の作品は演奏が難しいのだが、ロベルタ・アレクサンダーというソプラノが非常に巧みに料理している。その端正さには脱帽する。(この歌手の情報があまり見当たらなかったのだけど、ドイツのウィキペディアには、1949年生まれのアメリカの歌手と記載されている。メトやコヴェントガーデンでボエームのミミ、コジのフィオルディリージ、ドン・ジョヴァのドンナ・アンナなどを演じているところから、そういった声質のオペラ歌手なんだと思う。ドイツ語読めないからよくわからん。)



ついでに、歌曲集「I HATE MUSIC!」はバーバラ・ボニーの録音もある。

この歌曲集の第一曲目が‘My name is Barbra’というタイトルなので、少し面白い。

(ボーバラ・ボニーのCDのタイトルも「My name is Barbra」という曲名からとったものになっている)

このボニーのCDは、コープランド、ブリテン、バーバーなどの英語歌曲集なので、こちらのほうがとっつきやすいかもしれない。

演奏は、アレクサンダーのほうがよく調整されていると思う。



「英語の歌曲」というものが日本人に馴染みがないのだが、意外と軟らかい言語で歌に向いていると思う。20世紀を代表するアメリカの作曲家といえば、コープランドなどが挙げられるのだろうけど、いまいち面白くない(と思うのは私のセンスの問題かもしれない)。

比べてバーンスタインは、20世紀初頭のフランスの歌曲に近いものを感じる。

演奏の機会があまり無かったのが不思議。

今後、見直されていくのではないかと思うのだが。

まー、20世紀の後半に秀逸な歌曲が残らなかったんだから、多少アレだとしても、もう少し演奏されても良いのではないかと思っている。







CD店で確認したところ、廃盤になっているらしいです。

ituneでダウンロードしてください・・・。歌詞がわからないのが残念ですね。
商品名
Leonard Bernstein :Songs
価格
¥2,001
レーベル
Etcetera
発売日
1994-04-13
URL
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000000NK/kanshin-1-22/ref=nosim

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